漢方専門薬局 宮崎厚仁堂

 

漢 方 散 歩 道 9
青春ニキビ1(気になる! ひたいやほっぺ)
 4月は入学シーズン。進学やクラス替えで新しい自分を演出するいい機会です。心機一転といきたいところですが、せっかくのフレッシュな気持ちに「ニキビ」は水を差してしまします。
 そもそも青春ニキビは、「成長の証」で皮脂が大量に分泌されるためおこります。言うなれば「思春期の生理現象」です。青春ニキビの学生さんたちは、額や頬のぶつぶつ以外はいたって健康です。ニキビがあるだけで健康体ですから、漢方的な病理構造も比較的単純です。
 このような青春ニキビを漢方では「風熱(ふうねつ)型のニキビ」と考えます。
 

(1)風熱型のニキビとは

 自然界の風(かぜ)は吹いたり止んだりします。ニキビもできたり消えたりします。熱(ねつ)はあつくて上へ上へと伝わる性質があります。ニキビも上半身、とくに顔、胸、背中にできる傾向があります。このように発現と消失が激しく、上半身に集中するようなニキビのことを「風熱型のニキビ」と呼んでいます。
 風熱型のニキビを漢方的に治療するためには、風熱(ふうねつ)の性質をうち消す漢方薬をチョイスしなければなりません。

(2)青春ニキビの漢方薬

 青春ニキビの多くは風熱型です。便利な漢方薬をひとつご紹介すれば荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)です。首から上の炎症性疾患によく奏効します。ニキビだけでなく蓄膿症にもよく使われるのはこのためです。
 荊芥連翹湯をニキビに応用するとき、ちょっとしたコツがあります。ヨクイニンとの併用です。前回の「漢方散歩道8」でもご紹介しました。是非お試しください。

(3)軽ければ民間療法も有効

 ニキビもそれほど深刻でないのなら民間薬をおすすめします。ドクダミです。「十薬(じゅうやく)」や「魚腥草(ぎょせいそう)」と呼ぶこともあります。民間療法でも「ヨクイニン」との併用がポイントです。お試しください。
 ドクダミとヨクイニンを煎じるときには注意が必要です。ドクダミの薬用部分は主に「葉」の部分です。一方のヨクイニンは「種」です。「かたさ」がちがいます。お茶の葉とお米を一緒に煎じるようなものです。お茶の葉のようなドクダミはすぐに煎じ上がりますが、お米のようなヨクイニンは、少なくとも20分くらい煎じなくてはなりません。
 ヨクイニンから先に煎じはじめて、途中からドクダミを入れるとうまく煎じ上がります。
 

 ところで額や頬より口のまわりにニキビが多い方はいらっしゃいませんか? これは「食いしん坊ニキビ」です。漢方療法や民間療法と同時に「食事制限」をすることが大切です。とくに脂肪分の摂りすぎに気をつけましょう。  

(2001年4月)
 

青春ニキビ2(想い想われニキビ)

 青春期の恋愛は一途な分だけつらいものです。つらさはストレスです。恋愛のつらさ(ストレス)が悪化原因となる青春ニキビもあります。恋愛は一例です。受験、友人関係、家庭環境など、いろいろなことがストレスの原因になります。なにしろ多感な時期ですから。一般的に青春期は女子の方が精神年齢が高いため、このパターンの青春ニキビは女子に多い傾向があります。
 

(1)ストレスは青春ニキビを悪化させる

 青春期は身体はいたって健康です。健康体にストレスが加わるとどうなるのでしょう。ストレスは身体にとっては「鬱積や摩擦」が起こっている状態です。鬱積や摩擦は熱を生みます。ニキビは炎症性の皮膚疾患ですから悪化の原因になりうるわけです。
 そこで、青春ニキビの本体である炎症とその悪化原因であるストレスを同時にケアしていくことが、想い想われニキビには有効となるのです。

(2)想い想われニキビの漢方薬

 以前「女性とストレス(漢方散歩道7)」でもご紹介しました加味逍遙散(かみしょうようさん)がよく奏効します。やはり「ヨクイニン」との併用がポイントです。

(3)軽ければ民間療法も有効

 想い想われニキビによい民間薬はといえば、薄荷(ハッカ)です。あの独特の芳香成分は「メントール」です。もちろん「ヨクイニン」を併用してください。
 メントールのような芳香成分はすぐに蒸発してしまいますから煎じ方にはご注意ください。実際には煎じるというより熱水につけておくだけで十分です。それも5分以内。もしヨクイニンと同じように20分も煎じると、せっかくの有効成分はほとんど蒸発してしまいます。
 そこでおすすめしたい方法は、お茶をいれるときと同じように急須にハッカの葉を入れ、湯のみでいただくという方法です。この際、ヨクイニンに関しては錠剤になった製剤が発売されていますから、そちらを購入いただくのがよいかと思います。そう高いものではありません。ハッカのお茶でヨクイニンの錠剤を服むようにすれば、手間はほとんどかからないでしょう。
 

 想い想われニキビに加味逍遙散とヨクイニンの併用をご紹介しました。加味逍遙散はストレス一般に広く応用される漢方薬です。参考までに加味逍遙散の効能効果も掲載しておきます。

頭痛、頭重、のぼせ、肩こり、倦怠感などがあって食欲減退し、便秘するもの。
神経症、不眠症、更年期障害、月経不順、胃神経症、胃アトニー症、胃下垂症、胃拡張症、便秘症、湿疹
(N24 小太郎漢方製薬)
 
(2001年4月)
 

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