生理痛に応用する漢方薬はとてもたくさんあります。今回はその中でももっとも使いやすく効果も優れている漢方薬をご紹介しましょう。
生理痛の痛みは、簡単に言えば「血のめぐり」の悪さと考えられます。めぐりの悪さの原因を漢方では「オ血(おけつ)」ととらえます。すべての生理痛を「オ血」だけで論じるわけにはいきませんが、大半は「オ血」が原因です。
そこでお試しいただきたい漢方薬があります。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。体質をあまり考慮せずに使用できることが、生理痛のファーストチョイスたるゆえんです。そもそも桂枝茯苓丸は血のめぐりを改善する漢方薬ですから生理痛以外にも応用できます。
こんなときにも桂枝茯苓丸
・肩こり
慢性の肩こり、とくに血行不良が原因の肩こりには効果的です。揉んでもらうと楽になる肩こりです。「揉んで楽になる」と言うことは「血行がよくなると楽になる」わけですから。 |
・頭痛、頭重
肩こりが原因で頭痛や頭重をおこす方も結構います。血行不良が原因ですから桂枝茯苓丸もよく効きます。 |
・打ち身
打撲するといわゆる「青あざ」が残ります。できた場所によっては気になるものです。桂枝茯苓丸で血行を促進すると早くあざがなくなります。打撲してすぐに服用するとあざにすらならないこともあります。 |
・しみ
「しみ」は皮膚の色素沈着のことですが、皮膚の血行をよくして新陳代謝を高める目的で桂枝茯苓丸を使用します。このときヨクイニンを併用することがポイントです。ヨクイニンは「ハトムギの中味」です。錠剤や粉薬も発売されていますから、手軽に服用できます。 |
・ニキビのあと
黒ずんだ「ニキビのあと」は、なかなかきれいになりません。こんなときにも「しみ」と同じように桂枝茯苓丸とヨクイニンを併用します。 |
桂枝茯苓丸の血をめぐらせる作用は「中等度」です。簡単に入手できる漢方薬でもっと強力な処方もあります。桃核承気湯(とうかくじょうきとう)です。桃核承気湯は下剤を含んでいるため便秘のない方はやめておかれた方がよいでしょう。いずれの処方も漢方専門薬局でなくても一般の薬局薬店で購入できます。
(2000年12月)
生理痛2(寒いときほどつらい方へ)
冬場や冷房、薄着など「冷え」により、あきらかに生理痛が悪化するタイプの方がいます。お腹や腰を暖めると楽になるタイプです。生理痛のファーストチョイスとして桂枝茯苓丸をご紹介しました。「血のめぐり」つまり「オ血」を改善する漢方薬です。「寒いときほどつらい」タイプの方にも「血のめぐり」を促進する意味で桂枝茯苓丸は有効です。さらに「冷え」を改善する配慮があれば、もっと効果的なはずです。
「血のめぐり」と「冷え」の両方によい漢方薬があります。温経湯(うんけいとう)です。冬場に生理痛がひどくなる方には、とくにおすすめです。温経湯はさらに「血液を補う」作用もあるため生理痛以外にも応用できます。
こんなときにも温経湯
・手あれ(主婦湿疹)
冬になると指先が割れてくる方がいます。皮膚科で軟膏を処方してもらっている場合も多いはずです。こんな時、外用のスキンケアはそのまま続けてもらうとして、温経湯も服用するととても効果的です。 |
・しもやけ
「しもやけ」の「ごくごく初期」には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)という漢方薬を使います。少し時間がたち「患部が黒ずんできたとき」には当帰四逆加呉茱萸生姜湯ではなく温経湯です。とてもよく効きます。 |
・不妊症(卵管閉塞)
不妊の原因に卵管の通過障害があります。婦人科で「通水テスト」を受けた結果、通過障害を指摘されたならば温経湯をお試しください。 |
温経湯はこの他にもいろいろ応用できる漢方薬です。すべてをご紹介できませんが、たよりになる「女性の味方」です。
(2000年12月)