冷房病1(腰より下の冷えや痛み)
今やエアコンは、暑い夏に欠かせない電気製品です。よいことばかりではありません。オフィスなどで長時間、冷房の効いた室内にいると「足腰の冷え」や「腰痛」をおこすことがあります。
そもそも冷気は足下にたまりやすいので、足腰の血行不良をおこし、結果的に「冷え」や「痛み」を発症します。このような時には、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅっかんとう)をおすすめします。本方は、四つの薬物から構成されています。茯苓(ぶくりょう)、乾姜(かんきょう)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)です。それぞれの薬物名の一部分をとって命名されています。
(1)こんな症状に
・腰から下の冷えや痛み
・腰から下が重だるい
原因は、冷房による血行不良なので、入浴などで温めると「冷え」や「痛み」が楽になります。温めても軽くならないときは、ほかにも原因があるかもしれません。 ・排尿回数が多い
冷たい水の中につかっているような、重い鉄板が腰に張りついているような感覚があります。このため下半身に重だるさを感じます。
身体が冷えて、自然発汗が低下しています。このためトイレの回数が増えます。
(2)冷房病を起こしやすい環境
・長時間のデスクワーク
・床がぬれている職場
ときどき動くように心掛けましょう。 ・立ち仕事
厨房や鮮魚店のように、いつも床がぬれている環境は、暑いと感じても意外と下半身が冷えます。
美容院やファーストフード店などのカウンター業務など、立ちっぱなしの仕事は、冷房病をおこしやすい環境です。 冷房による体調不良は、足腰の冷えや腰痛だけでなく、「膀胱炎」や「痔」としてあらわれることもあります。
(2000年7月)
ふつう冷気は足下にたまりやすいので、腰より下に「冷え」や「痛み」をまねきやすいものです。ところが、生活環境や食生活によっては、腰より上に冷房病をおこすこともあります。「腕・肩・首すじの冷えや痛み」、「頭痛」、「腹痛」、「月経痛」などがそうです。このようなときには、五積散(ごしゃくさん)が便利です。
(1)腰より上の冷房病をおこしやすい環境と食生活
・エアコンのふき出し口
・冷飲と冷食
デスクの配置によっては、直接、エアコンの冷気が上半身にあたることがあります。また、長時間、車の運転をする人は、ふき出し口によっては片腕に冷気が当たりっぱなしになります。
暑いと、のどが渇くので、ついつい冷たいものを摂りすぎます。それもエアコンの効いた室内でです。身体の外から内から冷やされますから、良いわけがありません。
(2)五積散と苓姜朮甘湯
簡単に分けるならば、「腰より上の冷えや痛みには五積散」、「腰より下の冷えや痛みには苓姜朮甘湯」になります。ただ、両方の漢方薬とも「冷え」をとる点では同じです。五積散は16種類の薬物により構成されています。一方の苓姜朮甘湯は4種類です。この五積散の薬物16種類には、苓姜朮甘湯の4種類がそのまま内包されています。このため、五積散中の苓姜朮甘湯の部分をクローズアップする目的で、両方の漢方薬を組み合わせることもあります。
(2000年7月)